受験の役に立たない(と思う)数学シリーズ
 

6×6の魔方陣

とりあえず6×6の魔方陣を研究してみます。総当たりでも確かに魔方陣は作成できるのですが、それでは単に作成できるだけですので、別な作り方を考えてみたいと思います。

4×4の考察から、6×6の魔方陣を作るには補助魔方陣をまず作成するのがよいようです。ここではMagic Squareで紹介されている方式と本質的に全く同やり方を紹介します。まず次のような2つの6進数の魔方陣を考えます。
 
0 4 2 3 1 5
5 4 3 2 1 0
5 1 3 2 4 0
0 1 3 2 4 5
5 4 2 3 1 0
(1)
0 5 5 0 5 0
4 4 1 1 4 1
2 3 3 3 2 2
3 2 2 2 3 3
1 1 4 4 1 4
(2)

(2)は(1)を対角線で折り返したパターン(転置)になっています。

この二つの魔方陣を4×4と同様に合成します。これで6×6の魔方陣の出来上がりです。1〜36にしたいのなら、各マスに1を足してください。
 
0 4 2 3 1 5
5 4 3 2 1 0
5 1 3 2 4 0
0 1 3 2 4 5
5 4 2 3 1 0
6×
0 5 5 0 5 0
4 4 1 1 4 1
2 3 3 3 2 2
3 2 2 2 3 3
1 1 4 4 1 4
0 34 32 3 31
29 28 9 8 25 6
17 19 21 20 16 12
18 13 15 14 22 23
11 10 26 27 7 24 
30 1 2 33 4 35

ところで最近次のやり方に気がつきました。
これは
 
7 0 5
2 4 6

という3x3の魔方陣を4つ並べた
 
7 0 5 7 0 5
2 4 6 2 4 6
3 8 1 3 8 1
7 0 5 7 0 5
2 4 6 2 4 6

という魔方陣に
 
3 0 0 2 2 2
0 3 0 2 2 2
3 0 0 2 2 2
0 3 3 1 1 1
3 0 3 1 1 1

という魔方陣を9回足しあわせて魔方陣を作成するというものです。すると、以下のような魔方陣を作ることができます。
 
34 0 5 25 18 23
2 31 6 20 22 24
30 8 1 21 26 19
7 27 32 16 9 14
29 4 33 11 13 15
3 35 28 12 17 10

これは全ての4N+2の偶数サイズに適用できます。もう少し詳しい説明を8x8のところで説明していますので、興味のある方は参考にしてみてください。


では補助魔方陣で各列に1から6が一つづつのものはあるのでしょうか?一応存在するようです。

例によってそのような魔方陣では0から5の並びは関係ないはずなので、一番上の列を0から5まで連続していると仮定すると128パターン存在するようです。
 
0 1 2 3 4 5
4 2 5 0 3 1
3 5 1 2 0 4
1 2
2 4 3 1 5 0
1 0

ただし、同じ色がついた部分は互いに交換可能しても、行、列、斜めにも0から5が一つづつ入るという条件は保存されます。 「0から5までが必ず1つ」という条件では、必ずこのパターンが3つ現れるようです。 ただ、一番上の行は交換してもしょうがないので、結果として実質32パターンとなります。

問題はこの魔方陣と重ねあわせのできる魔方陣をどうやって探すかです。先の例ではたまたま転置させて重ねあわせができましたが、今回はそうは行きません。重ねあわせて数字が1つづつ入った魔方陣となるには一定の条件を満たす必要があるのです。

そして、そのような条件を満たす魔方陣は私はまだ見つけてません。というかあるんでしょうか?

補足

先日「幾何の魔術」(佐藤肇、一樂重雄著、日本評論社)という本を先日購入しました。この本に6次の直交するラテン魔方陣は存在しないということが書かれていました。これは上記の命題をさらに強めたものです。よって、上記のような条件を満たす魔方陣は存在しないことになります。

6x6の汎魔方陣

6次の汎魔方陣は存在しません。大森清美氏の「魔方陣」という書籍に証明が書いてましたが、端折っている部分が多く、いまいち納得がいかないので、私の考えた証明をここに載せます。基本的な考え方は大森清美氏と同じです。

今、6x6の汎魔方陣が存在すると仮定します。行、列の和は111(0から35までの魔方陣なら105)で奇数ですから、各行、列、斜めに奇数が奇数個あることになります。奇数は全部で18個ですから、「18個の石を全ての行、列、斜めに総数が奇数個であるように配置する」ことができるのなら汎魔方陣が存在することになります。

今仮に存在すると仮定しましょう。まず魔方陣を以下のように、チェスボートのように塗りわけます。

            
      
      
      
      
      

上図でピンク、グリーン、ブルーの各斜めのラインには石が奇数個あります。よって、色のついた部分全体の石の数も奇数です。当然、チェックは対称的で交互に交換可能ですから、白い部分にある石の個数も奇数となります。

            
      
      
      
      
      

色のついた部分全体の石の数が奇数ですから、上図のように塗り分けると、ピンクもしくはブルーのどちらかの石の個数が奇数となります。魔方陣は対象ですから、ここではピンクにある石の数を奇数とします。

            
      
      
      
      
      

同様に考察すると、上図のグリーンもしくはグレイのどちらかの石の個数が奇数となります。となると

「ピンク + グリーン」の石の数
「ピンク + グレイ」の石の数

のどちらかが偶数となることになります。仮に「ピンク + グリーン」が偶数だとすると、少なくとも1行目、3行目、5行目のいずれかの石の個数が偶数でなければいけません。「ピンク + グレイ」も同様です。

よって、仮定が間違っていたことになります。故に、6x6の汎魔方陣は存在しません。

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