ええわ～

E.G.コンバット

「いーか!! わたしがたった今から貴様らの教官を務めるルノア・キササゲ大尉だ!! 貴様らつぶぞろいのアホどものケツを地球まで蹴り出すのがわたしの仕事だ!! 血のションベンがでるまでみっちりしごいてやるからな!! オフクロのまたぐらから這い出てきたことを後悔させてやる!! 覚悟しろ!!」
「たった今から24時間、教官の権限において第一種休暇を与える。今のうちだ、書きたい奴は遺言書いとけ。金借りてる奴は返しとけ。どこへでも行って好きなだけハメ外して来い。ゲロ吐くまで酒飲んでこい! だがな───、24時間たったら、お前らのケツはひとつのこらずわたしんだ!! 返事!!」
「Yes, Mam!!」

西暦2029年7月9日、地球は何物かの侵略をうけた。奴らは女性を選んで襲う。人口の殆どを蹂躙されつつも、人類は救世軍を結成し組織的な反撃に出る。それから38年後の西暦2067年、いまだ侵略者との泥沼の戦いは続いている。女性たちは月への疎開を余儀なくされていた。舞台は救世軍月面駐屯部隊警戒区・埋設コロニー群守備隊オルドリン基地。女性だけの軍隊訓練校に、訓練校卒業生にして、救世軍に知らぬものなしの英雄、伝説のルノア・キササゲ大尉が本人の意思とは無関係に何かの陰謀で古巣に教官として出戻るところから物語は始まる。そんな彼女を待ち受けていたのは、訓練校始まって以来の落ちこぼれ5人衆であった。

登場人物が軒並み女性という、なんともお気楽な設定で読者に媚びているだけの凡百のライトノベルと侮る無かれ(実は読むまで侮ってた)。一見、ありがちなお荷物落ちこぼれ軍団が快刀乱麻の活躍する痛快立身出世物語ドタバタコメディに見えながら、その根底は正統派SFの味わい。リアルな訓練描写(員数あわせとか)に、息詰まる戦闘シーン、そろいもそろって個性あふれたキャラ立ちすぎの連中に、マニア心をくすぐるガフェット群。そして、設定やガジェットをきっちり使ったセンスオブワンダー爆発な大仕掛けの見せ場あり。笑えて、しびれて、そして泣ける。

原作☆よしみる、著者秋山瑞人。SFCのゲームの設定が元になっているとか。現在、電撃文庫より3巻まで出版中。すべてにケリをつけるデストロイの季節の次巻が待ち遠しい。ついでに外伝で続いて欲しいところ。

買え。

おまけ
主要キャラの名前について

ルノア・キササゲ
キササゲはのうぜんかずら科の落葉高木。実は利尿薬となる。

アマルス・ヒホン
ヒホンはスペインの地名。

チュン・マリポ
マリポは観葉植物。

アイ・ブランシェ
ブランシェはフランス語で「白」。

チャーミー・グリント
なんか洗剤の名前としか思えん。

ペスカトーレ・メッシナ
ペスカトーレはパスタ。メッシナはイタリアの地名。

カデナ・メイプルリーフ
カデナは嘉手納。メイプルリーフはカナダの象徴。

ラセレーナ・クリフト
ラセレーナはチリの地名。

マナッド・アムラスト
Man Adam Last。ん?

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