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2005年12月14日(水)

出ている。

小説はだいたいが虚構である。虚構は即ち嘘である。しかし、嘘ならなんでもいいというわけではない。大きい嘘と小さい嘘というのがある。大きい嘘というのは、この嘘がなければその小説自体が成立しない大仕掛けなもので、例えば一瞬それっぽく思えてしまう嘘理論や荒唐無稽な犯罪トリックなどがこれに当たる。無茶苦茶な嘘であっても、それを論理補強してやってあからさまな嘘と思わせずに上手く騙すのであるが、これに小さな嘘が混ざると途端に興醒めする。小さな嘘は不注意や錯誤で混入してしまったもの。小さな嘘は嘘の下手な詐欺師がボロを出したようでかなり醒める。読むほうだって、小説なんて嘘っぱちなのは百も承知なのだが、それでも上手く嘘をついてもらわないとノれないのである。今日読んだ「世界の中心、針山さん」は計算された緻密な作りの話で楽しめたが、惜しむべらくはこの小さな嘘が気になってしまった。航空公園の目の前の国道はR465ではなくR463。地元住民はこういう本質的でない所に目がいってしまうのであった。

Posted by awa at 1:11.58
Categories: 雑記