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放浪記
その無軌道な足跡の数々


2001.05.05 〜 2001.10.06 第四期「関東の駅百選」スタンプラリー
【第一部 虎視眈々篇】
【第二部 一触即発篇】
【第三部 獅子奮迅篇】(2001.08.03 〜
※ タイトルと内容は無関係です。多分。


#19/27 海芝浦(JR)
8/3。知る人ぞ知る有名駅。なにせ、一般人は改札から出れない。鶴見の工業地帯のどんづまり(ホームの廻りは海)にあるこの駅は、東芝の私有地にあって、改札の外はそのまま東芝の工場であり、改札で社員証を提示しないとその先に進めないのである。改札を抜けることのできない一般人はむなしくホームで折り返さざるを得ない。そのくせ乗車券は往復とも必要なのが面倒である。東芝専用の通勤路線だけあって、ダイヤの構成も極端で朝夕は結構な頻度で発着する電車も、日中帯はほとんど走らない。以前ここを訪れた休日の昼、電車は途方に暮れるくらい走っておらず、冬の北風に凍えながらしばらくホームに立ち尽くしていたものだ。

【どん詰まり駅 海芝浦駅】


#20/27 相模大野(小田急)
8/5。江ノ島・鎌倉フリーパスを使う。所沢から西武新宿線で新宿を経由して小田急江ノ島線で江ノ島に至る切符である。小田急の分岐駅がまさしく相模大野駅。数分の乗り換えを縫って押捺。天気が良かったら海に漬かろうかと思ったが、生憎の曇天模様。海を諦めて、江ノ島散策。初上陸の江ノ島(去年、片瀬江ノ島駅を訪れた際は江ノ島は素通り)は意外と起伏が激しく、島の裏側の階段は土合並にしんどかったり。江ノ電名物の江ノ島最中は売り切れで買えず。その和菓子屋の店先に江ノ電の先頭車両の一部がどーんとディスプレイされていたりする。


#21/27 大磯(JR)
8/8。大磯ロングビーチは結構高いらしい。


#22/27 桜川(日立電鉄)
8/24。JR常磐線の大甕という難読というより難書とでもいうべき駅から日立電鉄に乗り換える。電車は今日日珍しい非冷房車が1両きりのワンマン運転。この日は結構暑く、天井の扇風機はやかましいだけで、ちっとも涼しくない。電車は大甕駅を発つと、JRの線路をオーバクロスしてJRの海側を常磐線と並行して走る。桜川駅まで9分の間に5つの駅に停まる。どの駅もこじんまりとしている。桜川駅も小さな駅であった。駅の向かいにかなり大きな病院があるのだが、この便で病院を訪れた人はいなかったようだ。というか、ワシと一緒にこの駅で降りた人間は全てスタンプ目当て。なお、スタンプは桜の花を模したちょっと変わった形をしていた。駅は割と交通量の多い通りに面しているが、バスの停留所程度の小さな降車場があるだけで、駅前広場もなく、駅前に店らしい店もほどんど見当たらない。駅の背後には隣にある工場の敷地内の林が広がる。長閑だねえ。折り返しの電車まで1時間以上あるので、すぐ近くの常磐線の常陸多賀駅まで歩く。繁華街らしいところを過ぎるが、暑い盛りで外を歩く人の影も少なく、やっぱり長閑な風景が続く。

【近くの踏切から 桜川駅】


#23/27 玉川村(JR)
同日。今回のスタンプラリーの最遠点、東京駅から150kmの地点である。玉川村駅のある水郡線は茨城の水戸と福島の郡山を繋ぐ路線。県境を跨ぐ路線ではよくあることだが、県境付近は泣けるほど列車が走っていない。水戸側から見て、玉川村の一駅手前の常陸大宮がその境目で、常陸大宮行きの列車は結構走っているものの、その先にまで進む列車は半分以下といった有様。とりあえず、常陸大宮まで進む。ここで40分待ちである。待合室でダレる。陽射しの中は暑いが、駅の中で風に吹かれていると、まだ涼しい。いい加減、夏も終わりか。どこから迷い込んだのか、野良の子猫が待合室の椅子で寝こけていた。待合室では高校生が賑やかだったが、上り列車が出てしまうと、待合室はガランとしてしまった。そのうち目を覚ました子猫に懐かれる。困る。

【常陸大宮駅の待合室にて】

玉川村駅は地域のコミュニティセンターを兼ねた建て直したばかりの新しい駅舎。無人駅だが、コミュニティセンターの職員が嘱託で切符を売っていたりする。今度も折り返しの列車まで1時間以上ある。駅前はいかにも農村地帯といった感じで、集落はあるが、店などの時間を潰せそうな場所は全くない。スタンプを押してすっかり閑を持て余してしまい、よせばいいのに一駅隣の常陸大宮駅まで歩いてしまう。・・・駅間は5km以上あり、歩くのに1時間以上掛かってしまい、結局、玉川村駅で1時間待てば乗れた列車に常陸大宮駅から乗りこむことになったのであった。常陸大宮駅の子猫はもうどこかにいなくなっていた。


#24/27 印旛日医大(北総公団)
9/21。声を大にして云う。運賃たけぇよ。


#25/27 ゆめが丘(相模鉄道)
9/29。横浜から延びる相鉄の末端の最近開通したばかりの区間にある駅。田んぼの広がる鄙びた風景の中に場違いに小奇麗な高架が延びている。駅の周りにも、駅を意識した建物がほとんど見当たらない。ひたすら長閑。
ところで普段使っている西武鉄道の改札機はかなり賢く、乗車券、パスネット、定期を同時に複数枚放りこめば乗越し清算やパスネットの繰越をちゃんとやってくれる。これに馴れていたので忘れていたが、他社の改札はそこまで面倒見がよくなかったのであった。改札でパスネットの2枚差しを撥ねられる。こんなことなら残り度数を確認して入場したのに、と後悔しながら、馴れない手つきの駅員がパスネットに出場記録を焼きこむのを待つ。結構待つ。遂に痺れを切らし、駅員にパスネットを預けたまま改札をぬけてハンコを捺す。


#26/27 踊場(横浜市営地下鉄)
同日。奇遇なことにこの駅も横浜から延びる地下鉄の末端の最近開通したばかりの区間にある駅。ゆめが丘の隣の終点湘南台で地下鉄に乗り換えて、数分である。なお、踊場の地名の元でもある踊りを披露したのは猫。スタンプに猫耳が生えていた。


#27/27 和田浦(JR)
同日。踊場の隣の戸塚でJRに乗り換えて、総武快速で千葉を目指す。千葉からは内房廻りの安房鴨川行きに乗り換える。戸塚から千葉まで1時間半。千葉から和田浦まで2時間半。
普通列車が館山九重千歳と房総の先端を折り返すと、それまで見えていた東京湾に代わり、車窓から太平洋の大海原が見えるようになる。和む。そろそろ夕刻で、部活を終えたと思しき制服の一団がぞろぞろと乗り込んできては降りていく。駅の木立ではヒグラシが物寂しげに。
和田浦は古くは捕鯨で栄えた土地で、駅舎は鯨の尻尾をイメージしたものだと云う。待合室の片隅に名産品の展示コーナーが埃をかぶっていた。駅前の商店はすでに店仕舞いしつつある。最後のスタンプを捺し、駅の廻りを何枚か撮る。暮れなずむ茜色の光。駅のホームから望める広がる海と砕ける白波。ずいぶん遠くまで来たものだ。

【千葉名物ジョージアMAXと和田浦駅】


横浜
10/6。先週も訪れた横浜駅に今度はスタンプラリーの完走証明を貰いに出掛ける。会場にたどり着いてみれば、例年通りの混雑。百駅のパネル展やビデオ上映会、子供向け模型工作教室だのと大繁盛。群がるのはテツばかり(お前もだ)。認定証の受付には結構な行列が出来ている。丁寧なことにこのスタンプラリーの認定証には毛筆手書きで達成者の名前を入れてくれる。そのため、受け取りに数分かかる。なかなか行列が捌けない。だから、粟と栗は違う字だっつーの。
どこか近くで鉄道関係の販売をしているようで、行列に並ぶ人間の手にはサボだの中吊りだの妙な荷物が多い。それでも、テツには見えないのどかな家族連れが並んでいたりして、このスタンプラリーの挑戦者の裾野の広がりがうかがえる。やがて、認定証と盾を貰う。この盾も3つめだ。

1998年の第1期に参加し損ねたのがかなり心残りだが、足掛け3年におよぶ関東の駅百選スタンプラリーもついに終わりとなった。かけた時間と切符代は決して少なくは無いが、それに見合う中々面白いスタンプラリーだった。半ば強制ではあるものの、関東一円の色んな駅を見て回るのは意外に楽しい体験だった。中にはこんな機会でもなければ、一生下りなかった駅も多い。おかげで私鉄も随分と詳しくなったし。去年や今年は土日が自由にならず、閑の捻出に苦労したりしたのも、今となってはいい思い出のひとつである。このような骨太な企画に出会えたことを感謝しつつ、放浪記録を終わろう。

関東の駅百選スタンプラリーの旅、ここに完。





・・・なんだ、これ。

【次回予告?】


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