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放浪記
その無軌道な足跡の数々


1999.04.17 〜 第二期「関東の駅百選」スタンプラリー
【第一部 東奔西走篇】
【第二部 櫛風沐雨篇】(1999.06.04 〜 07.24)
【第三部 捲土重来篇】



#10/25 国立(JR)
6/4。なんとなく仕事帰りに。有名なハナシだが、国立は国分寺の国と立川の立から作られた人造地名。中央線で真っ先に開通した区間(新宿〜立川が明治22年で一番早い。ちなみに一番遅い区間は東京〜万世橋(廃止・現交通博物館)の大正8年)にありながら、駅も比較的新しい。ライト式と呼ばれる建築様式の駅舎は大正15年の開業当時のままだという。なお、この区間は住民が爆発的に増加したこともあって、あとから出来た駅がやたら多い。開業当時の駅は新宿、中野、武蔵境、国分寺、立川のみで、残る駅はすべて後付けである。

#11/25 府中(京王)
国立から立川をまわり、南武線に乗り換えて府中本町へ。素直に分倍河原で乗り換えればいいものを、何を血迷ったか京王の府中駅まで歩こうとしたのだ。疾うに日も暮れ、初めての場所、加えて下準備無し。案の定迷う。わはは。帰宅後、調べてみたら第一歩からして間違い。当時本人は迷ってるつもりはなくて確信を持って明後日の方向に歩いていたのだけど、ふと大通りに交差する遊歩道に目が行く。一目で分かった。中央本線の支線、通称下河原線の跡だ。河原の砂利を運ぶ貨物線として明治43年に開業。その後、昭和9年に目黒にあった東京競馬場が府中に移転された後、中央線から東京競馬場へのアクセスとして活躍。昭和48年開業の武蔵野線にその任を譲り、旅客営業を停止。その後も貨物線として細細と営業をしていたが昭和51年に廃止されている。都心の廃線跡には珍しく転用もされず、かなりの部分が遊歩道として現存する。日も暮れて涼しくなった遊歩道を散歩がてら歩く。なだらかな勾配、付近の住宅が完全に背を向けている、隣にちゃんとした車道が別にある。間違いなく路盤の跡である。途中、アスファルトにレールが埋まっている場所が一個所だけ有った。・・・で、ようやく京王の線路を見つけて、適当に沿って歩いて着いた駅が分倍河原。なにしてんだか。結局、諦めて京王線で府中に向かったのであった。


#12/25 航空公園(西武)
6/11。会社帰りスタンプ第二弾。遠いなあ。ついでに川越線完乗。関東近辺は行き易いと高を括っていて結構乗り残しがあったりする。しかし、櫛風沐雨って云う割にちっとも雨が降らん。看板に偽り有り、である。


#13/25 大多喜(いすみ)
7/17。昼過ぎ、英会話からそのまま駅に。衝動的に旅立ちを決意したため、ルートはいつものごとく全くの未検討。小湊鉄道でハマリそうな予感があったが、まあ、たかが県内。帰ってこれないことはないだろう、と呑気に出掛ける。ホームで買った昼飯がわりの鯛焼きをぶらさげて、東に向かう。千葉を過ぎると車窓は長閑なものである。梅雨とはいえ、すでに7月も半ば。ホームの片隅の木立からはセミが喧しく鳴いており、蒸す。夏だ。単調なレールの音に午睡に引込まれ、気がつけば大原。ここで、いすみ鉄道に乗り換えである。ここまで寄り道無しで2時間。意外にも実は東京から日本国内で時間的距離が一番遠い地帯に千葉県の太平洋側が含まれる。東京から2時間あれば札幌だって行けてしまうのだが、東京から館山や銚子もいくら急いでもそれくらいかかるのである。学校帰りの高校生に紛れて、いすみ鉄道に乗り換える。
いすみ鉄道。旧名は国鉄木原線。木原は木更津〜大原の意。久留里線との接続は幻に終わり、昭和63年に廃止、第3セクタ化されている。かつては千葉までの直通列車が走っていたことがあるというか、そんな面影は全く見えない。
途中、国吉駅で何かの映画の撮影をしていたようだ。スタッフがお願いを呼びかけていた。カメラ目線をしないで呉れ、とのこと。カットとかOKとか勿体ぶった声が微かにしていたが、興味がなかったので、見ず。・・・案の定、大多喜は小さな駅であった。近くに大多喜城だの野草園だのがあるらしいが、暑くて動く気になれず、次の列車まで待合室でひたすら呆としていた。数的にはこれで折り返しである。

【いすみ鉄道 大多喜駅】



#14/25 上総鶴舞(小湊)
引き続き、小湊鉄道をめざす。小一時間ほどしてやってきた列車で上総中野に着く。ちょうど、一日に何本もない上総中野始発の列車が止まっている。しかも、2両編成。始発駅でありながら、乗客はほとんど居らず、1両でもお釣がくるような感じなのだが、それとも平日のラッシュ時は埋まるのだろうか。なお、いすみ鉄道と小湊鉄道は物理的にレールがつながっておらず、直通運転をする気はなさそうである。もしかしたら、ここに木更津からの久留里線が接続されていたのかも知れない。時刻はそろそろ夕刻。日差しが赤い。
さて、目当ては上総鶴舞駅。スタンプが設置されるくらいだから、そこそこの駅だと思っていたのだが。が。・・・無人駅。呆然と立ち尽くす私を尻目に、列車はクラクションを残して出ていった。2面3線のホームは1線分しか使われておらず、駅舎から離れた場所の島式ホームは朽ちるにまかせてあり、レールも錆びきっている。改札から見える駅前には、農協の倉庫が見えるのみで、商店の1軒すらなし。時刻表を見ると、次の列車まで1時間15分。はあ。改札に設置された立派なスタンプ保管箱を開いてスタンプを捺す。営業中のレールを跨ぐのは抵抗があったが、通路がないので仕方なくレールを越えて使われていないホームへ。しばし、佇む。なにかの施設跡の碑石がひっそりと残っていた。駅の観光案内に従い、近くの神社を参拝したりして時間をつぶす。今回、時刻表を携帯しなかったが、i-modeのトラベルで十分代用できた。

【小湊鉄道 上総鶴舞駅 田圃の中の無人駅】



#15/25 秦野(小田急)
7/24。梅雨も明け、数日前の集中豪雨が嘘のような好天。雲一つない、とはこのこと。茹だる。陽炎揺らぐ新宿を通り過ぎ、東西線、JR、小田急と乗り継ぎ西を目指す。多摩川を越えると、背の高いビルが見当たらなくなり、いつしか乗客もまばらに。昼下がりの気だるい雰囲気。さらに進み、厚木を過ぎると車窓に畑が見えてくるようになる。やがて、秦野で下車。ホームの日陰ですら、サウナの熱気。暑い。

#16/25 大雄山(伊豆箱根)
秦野から小田原を目指す。小田原は、ちょうちん祭りの初日で駅前に特設会場があったりなんだり。浴衣姿の女性が団扇片手に散歩していたりして何とも華やいだ感じ。など、を、丸ごと無視して小田原駅の1、2番線にひっそりとある伊豆箱根鉄道に向かう。なお、小田原はJR在来線、新幹線、小田急、箱根登山鉄道、伊豆箱根鉄道と多くの鉄道が乗入れるこのあたりではちょっと珍しい駅。
伊豆箱根鉄道は典型的な参拝線。古くから寺社参りは大衆の娯楽であった。そのため、幹線鉄道から各地の主要な寺社への連絡線は早くから整備されている。例えば、伊勢神宮への参宮線、出雲大社への大社線(廃止)、金毘羅への下津井電鉄および琴平参宮電鉄(ともに廃止)などなど。伊豆箱根鉄道の終点、大雄山でバスに乗り換えて10分ほどで辿り着くのが、曹洞宗最乗寺。曹洞宗で3番目の格式をもつ古刹だという。ちなみに、大雄山駅があるのは南足柄市。あの金太郎の足柄山の麓である。駅前には金太郎の銅像が立っていた。

【伊豆箱根鉄道 大雄山】



しかし、櫛風沐雨と銘打ったものの、雨に祟られることなく梅雨明けしてしまった。


8/1。この日も茹だる暑さ。会津若松からの帰り道に上三依塩原駅に立ち寄る。築堤から地下に潜ってそのまま改札から外に出れる構造の駅である。駅の背後は山々がそそり立ち、向かって正面が少し拓けているが、それもすぐに山に突き当たるといった谷底の駅。ホームからあたりを仰げば、集落の家々が少し見えるだけで、駅前には建造物もなく本当にガランとしている。降車客は私一人。とぼとぼと外に向かえば、改札は無人。窓口はシャッターが固く降りている。お目当てのスタンプはどこにも見当たらない。スタンプ台帳をよくみると、8:00〜17:00 改札窓口、の記述が。時計は17:45。不覚。暮れなずむ無人のホームでヒグラシの声を聞きながら次の電車をまつ。ここから終点浅草は165kmの彼方である。図らずも捲土重来の伏線になってしまった。くそー。


#17/25 八景島(横浜新都市交通)
8/11。会社は半ドン。帰り道、乗り残していた相模線経由で横浜近辺を目指す。八王子 〜 橋本 〜 茅ヶ崎 〜 大船 〜 新杉田 〜 八景島 〜 金沢八景 〜 上大岡 〜 桜木町、と結構美しく乗り継げるのだ。
相模線は近郊区間とは思えん長閑さ。これでJR東は残り2個所である。茅ヶ崎で東海道、ホームがら奇天烈な巨大仏像が見える大船で根岸線に乗り換えて新杉田。相模線をのんびり堪能していたものだから、すでに夕暮れ時である。・・・ところで、新交通と名の付くものは押し並べてこうなのか。プラレールのような路盤に乗務員の居ない車両ががゆりかもめのようだ。八景島付近で路盤は、海沿いをアクロバティックに右に左に、おまけに高低差もあり、の起伏に富んだコースを取り、ちょっとした観覧車気分が味わえる。車両狭いけど。

#18/25 上大岡(京急)
そのまま横浜新都市交通金沢シーサイド線(正式名称)の終点の金沢八景まで行く。高架が唐突にぶっつりと途絶え、乗客は真下の地面まで徒歩で降りることになる。なんとなく、勘を頼り、というか人の流れに乗って、京急の金沢八景まで歩く。ちょうどやってきた特急に乗って2駅で上大岡である。しかし、市街地を走る列車の車窓は変化が無くて詰まらん。

#19/25 桜木町(JR)
さらに地下鉄に乗り換えて桜木町へ。野毛チカミチって初めて見たけど、地下と近道か。とほほ。


【第三部 捲土重来篇】
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